テイラー・キッチュ出演作。
原題;Battleship
2012年5月18日 アメリカ公開。
2012年4月13日 日本公開。
エイリアンの地球侵略×海軍。
私の不得手なジャンルのハイブリッドということで、120%尻ごみしていたのが。
キッチュのためなら、エンヤコラ。
ってアレ!?
…もう1回みたい、かも。
(1)眼福
奥さま、長髪のキッチュでございます! |
なんと嬉しいサプラァーイズ!!
冒頭に、長髪キッチュが♪
(上記リンクでClipをご覧くださいませ。)
『バトルシップ』の撮影は『ジョン・カーター』の後なので、冒頭の「長髪」は、もしかしたら「自前」かしら。
だとしたら、このシーンの撮影の後に「12年間の長髪生活」に別れを告げたのねぇ涙。
2011年公開のアメリカ版Official Trailerに
「長髪、ガチで刈り上げます」風味の映像を発見!涙!
(7月2日 加筆)
無鉄砲な弟キッチュをたしなめる、出来た兄貴のアレクサンダー。 眼福にあずかりました。合掌。 |
Ericが兄貴です!
あの『True Blood』のEric Northman が!
もちろん、演技派のAlexanderですから、Ericとは全く異なる役柄を、完璧に演じ切っていますが。
それにしたって、Alexanderの弟がキッチュだなんて。。
色気が無限放出な兄弟です。こちとらアタマ、オカしくなります。
億が一にも、このお二人を兄にもてたなら…わたしゃ、一生嫁ぎませんっ!!
(2)本作のみどころ
①主人公
LAプレミアのキッチュ。 おさるのジョージ風味でカワユイ。 |
よくある話と思ったら、さにあらず。
この「若造」は、無知でもなければ、単細胞でもない。
知力、能力、資質を兼ね備えた、本来は有能な人物なのである。
(無論、無鉄砲男にお約束の、「オンナに弱い」はバッチリ標準装備、だが。)
だが、その「才能」を生かす術を知らず、有り余った力をもて余し、かといって、その「才能」を発揮する方法を探る訳でもなく、ただ「吹く風」に身をまかすだけ。
「無気力」ではないが、「向上心」を持ち合わせているわけでもない。
現代人の標準的なモデル像であろう。
自分を思わず重ねて見ずにはいられない、それが本作の主人公だ。
②閑職の大活躍
地球を「救う要」となるのが、「過去の遺物」である「記念艦」と「退役軍人」。
その「指揮」を執るのは「元おちこぼれ」の主人公。
これが本作のミソであろう。
先の見えない不安定な情勢。一向に上向かない経済。
閉塞し、疲弊し、硬直した現代社会において
われわれは辛酸をなめることは多々あれど、勝利を味わうことは少ない。
「人生の覇者」となることは難しい、それが現実。
そんな中で、いわば「窓際族」が面目躍如し、大活躍するさまに
胸のすく思いに駆られた人は少なくなかろう。
③リアリティ
Alexander Skarsgård (アレクサンダー・スカルスガルド) |
だが、現実に即して考えれば、そうした作戦は、あまりに荒唐無稽でご都合主義であり、つまりリアリティを欠いている。
対し、本作で「戦力」となるのは、蓄積されたノウハウ、豊富な経験値に基づく、的確な判断力。
国の壁を越えて、持てる「戦力」を結集させ、リアリティのある巧みな戦術で敵を駆逐していく。
本作には説得力がある。
④サウンドトラック
コテコテの王道ロックである、AC/DCの「Thunderstruck」にのせて
エイリアンを撃滅するさまは、リズムとテンポがあり、高揚感に溢れていて、見ていて快い。(そのほかのサントラについては、コチラをご覧くださいませ。)
⑤変化するアメリカ
地球を「明るい未来」へと導くために、国々が結束し
真に手に手をとって協力、団結していくさまを描いた本作。
自国至上主義国と言われて久しいアメリカに
こういった思想が芽生えていることを象徴する映画とも言えるだろう。
***
ただ、一つ。
便宜上、「エイリアン侵略映画」と分類したが、内容を鑑みると
本作を「エイリアンの亡命映画」と見ることも可能なのだ。
本作のエイリアンは、先制攻撃された場合や
対象に「殺意」を感知した場合以外に、攻撃は仕掛けてこない。
人畜無害と判断すれば、無益な殺生はしない。
つまり、本作のエイリアンの「攻撃」は、あくまで「自衛」であるとも考えられるのだ。
また、主人公が彼らに見せられた「ヴィジョン」によれば、彼らの母星は荒廃している。
これらを総括すると、エイリアンの目的は「侵略」ではなく
地球からの友好的なメッセージを受けて、「亡命」してきたとも考えられるのだ。
とするならば、地球側の攻撃は、亡命者の一掃ということになる。
相手の要求を聞く前に、粛清する。
これは、過剰な防衛本能による、「異物」の排他とも解釈できる。
正義を隠れ蓑にした、排斥主義が見え隠れするといったら、偏った見方だろうか。
***
とはいえ、ユニバーサル映画100周年記念にふさわしい
骨太でダイナミックな「大作」に仕上がっている。
続編を匂わせるエンディング。
本国の興行成績しだいでは…楽しみに待ちたい。