2012年9月2日日曜日

Michael Fassbender in 『プロメテウス』鑑賞。




Michael Fassbender出演作。
原題;Prometheus
2012年6月8日 アメリカ公開。
2012年8月24日 日本公開。


鑑賞目的および理由。
ずばりアンドロイドなDavid 8ことMichael Fassbender

あらま、なんて究極に異端な鑑賞者なんざましょ。


【あらすじ】
人類が長年にわたって追い続けている、人類の起源にまつわる謎。地球で発見された古代遺跡から、その答えがあるかもしれない未知の惑星の存在が浮かび上がる。科学者たちを中心に編成された調査チームは、宇宙船プロメテウス号に乗り込んで問題の惑星へと向かう。惑星にたどり着いた彼らは、人類のあらゆる文明や常識を完全に覆す世界を目の当たりにして息をのむ。誰も到達できなかった人類誕生の真実を知ろうとチームの面々が探査に没頭する中、思いも寄らない事態が迫ろうとしていた。
(CINEMA TODAYより)


【本作の感想】

「人類の創造者をたどる」

それは、人間の驕りであり、傲慢な行為に他ならない。
個人的には、そんな宗教的な倫理観が透けて見えた本作。

人類が創造したアンドロイドDavid 8は、創造者たる人間の探究心を満たすため、ありとあらゆる行動をする。
人間の願望に忠実に応えるDavid。
「良識」「健全な判断」といった「人道的な制約」がDavidには、ない。
人間に仕えしDavidの、人間に対する従順なる行動が、皮肉にも、創造者たる人間に存亡の危機をもたらす。

何たる皮肉。何たる悲劇。

しかしながら、「創造者の探究」は、その原動力が「知的好奇心」であるがゆえに、翻っては、創造者と対等の立場に立とうとしているとも言え、宗教的な倫理観にのっとれば、思い上がりも甚だしい「尊大で高慢な行為」であり、かような人間の行く末は、当然の「制裁」だったのであろう。

当初は、創造者たる人間が要求する目的を達成するため、やがては、芽生えた好奇心を満たすため、手段を厭わず行動するDavid 8。
その無垢なる行動原理は、幼子特有の残虐性と相通ずるものがあり、透明感あふれるDavidの美しさに魅了されると同時に、不穏な妖気に背筋が寒くなった。と同時に、そんな「毒を隠した無邪気な美しさ」に、ドギドギ萌えてしまった。
かえすがえすも、ファ~ス~殿めぇ~~(喜)♪

本作における「人類の創造者」は地球外生命体「エンジニア」であった。では、その「エンジニア」の「創造者」は。

そんな禅問答に心を苛まれたまま、本作は終わった。
地球を目指したエンジニアの真の目的は。
また、Davidは終始、人間の忠実なる下僕であったのか。それとも…

恐らく、『プロメテウス』は様々な謎を提起する「序章」であり、「主題」は、続編で描かれるのであろう。


【Meredith Vickers】

プレビューで「Charlize TheronをMeredith Vickersに起用した意味がない」とのご意見を散見しており「何故に」と思いながら鑑賞。

「いやいや、冷徹な現実主義者を好演しておりますよ。」
「ちっとも力不足じゃないですよ。」

と思っていました所、映画ラストで、皆さまのご意見に納得。確かに。この役は、彼女には「役不足」にございます。
演技派俳優であるCharlize Theronを配しながら、『プロメテウス』におけるMeredith Vickersには、あっと驚く「大どんでん返し」は用意されておりませんでした。
本作におけるVickersは「非情で傲慢な仮面」を被り、その実、親の愛を無心に乞う「いたいけな少女」にございました。続編で「実は彼女は何某だったのだ」と種明かしがあるのかもしれませんが。如何に。


【いとしのデヴィちゃん】

それにしたって、David 8。もうね、やったらめったら、めんこいの。一家に一台、デヴィちゃん状態。

①まるでキャタピラのように、スルスル滑らかに歩行するデヴィちゃん。頭にペットボトル乗せても、歩けそう。ガ、ガヴァイズギル。

②お座りが、超絶的に可愛いデヴィちゃん。ピシーと揃えた脚が、あんまり愛くるしいもんだから、心がもんどり返って、腸ももんどり返って、腸捻転しかけた。デヴィちゃんの体育座りシーンを狂おしく希望!

③未知との遭遇に、澄んだ瞳を、好奇心にキラキラと輝かせるデヴィちゃん。キャー♪なんて大きくて、おデコのシワのご立派な、愛くるしい赤ちゃんなのでしょう。

♪可愛いベイビー ハイハイ
♪可愛いベイビー ハイハイ
♪可愛いベイビーと呼ぶのは
♪愛しているからかしら
♪Pretty Little Baby 可愛いベイビー

④『アラビアのロレンス』のPeter O'Tooleを、完璧に声帯模写および形態模写しちゃうデヴィちゃん。その完成度の高さたるや江戸家猫八師匠クラスです。デヴィちゃん、寧ろファス殿、すごすぎ。

⑤ユーモアセンスがさりげなく黒いデヴィちゃん。もしやピュアブラック?

⑥脱いだらチョー逆三角形体型、やっぱり美筋肉のデヴィちゃん、もといファス殿。

⑦デヴィちゃんが『白い巨塔』になってる。白衣の天使~~!麗しすぎで、似合いすぎで、コチトラ心肺停止。

⑧そんな金髪デヴィちゃん。まさかまさかのセルフ染毛と判明。生え際を「狙い染め」中のデヴィちゃんってば、ヘアスタイルが「チェッカーズ時代の藤井フミヤ氏」モード入っちゃってます。それがまた、もぅ~たまらなく似合ってないもんだから、重力加速度的にかわいさ倍増。

⑨エンジニアの機械を始動させるため、初動作業として縦笛を吹くデヴィちゃん。その無邪気な可愛さに、ちくわ笛ふく小学生♂を思い出しちゃったよ。んなもんでスマン、笑うシーンじゃないのに笑っちゃったゴメン。

⑩そして、待望の「首ちょんぱデヴィちゃん」。動きがぎこちなくて、すんごいカワイイ。←もはや意味不明なトキメキ。コチトラ、「首だけデヴィちゃん」に「首ったけ」でございます。


【アンドロイドDavid 8とは】

人間の叡智を結集させて創造された、「究極の人間体」であるDavid。
と同時に「完全な存在」であるが故に、「ヒトとしては不完全な存在」であるDavid。

人間を遥かに「凌駕」する知能を持つDavid。
反面、生まれたばかりの「赤子」のような側面を持ち、「ヒトとしては未熟な存在」であるDavid。

人間の「安全を確保」し、守る存在であるDavid。
一方、人間にとって「危険因子」でもあるDavid。



つまるところ、アンドロイドDavidとは、創造主の人間にとって「諸刃の剣」なのである。

***

冒頭、バスケットボールを1本指で操るDavidが映る。

これを「創造主であり支配者たる人間」と「David」の
のちの「形勢逆転の暗示」と考えるのは、憶測が過ぎるだろうか。

「バスケットボール」は「地球」つまりは「人間」の象徴であり
このシーンは、後に「人間」が「アンドロイド」の掌の上で踊らされることを示す
【メタファー】と考えずにはいられなかった。

***

「人類の創造者をたどる」
「新たな生命体を創造する」

それは、決して開けてはならぬ『パンドラの箱』だったのかもしれぬ。


【Michael Fassbenderの名演技】

頭部と胴体を切断されたDavidの、不自然な瞬きの具合、眼球の運動の具合。外眼筋、頬筋、さらには胸鎖乳突筋など、首から上の筋肉を総動員して、 緻密に綿密に演じてみせたファス殿。

そのほか、先に紹介したとおり、映画序盤からラストまで、終始、ファス殿の精緻を極めた確かな演技力が冴える。正に息をのむ名演技。

人間にとって「光」であり「闇」でもある。「希望」であると同時に「終焉」の引き金でもある。そんな「相対する二面性」を併せ持つDavid。だからこそ、その外見は間違いなく「人間そのもの」であるにもかかわらず、われわれ観客は、本能的にDavidに「不信感」を覚え、彼に対し「危機感」を発動させる。

かような難解な役柄を、見事に演じ切ったファス殿に、惜しみない拍手を送りたい。