2012年10月6日土曜日

Michael Fassbender in 『エージェント・マロリー』鑑賞。




Michael Fassbender出演作。
原題;Haywire
2012年1月20日 アメリカ公開。
2012年9月28日 日本公開。


凝ったカメラアングルは一切なし。
複雑なショットは皆無。
超絶技巧なアクションではなく、拳と拳をぶつけあう肉弾戦。

かつては王道であったアクション映画。
その定石を忠実に踏んだ映画。それが本作である。

そんな、いわば「正攻法」の本作が何故だろうか
「実験的」に目に映ってしまうのだから不思議だ。

これが、時代の潮流というものなのだろうか。


【あらすじ】

■時は現在。ニューヨーク北部の片田舎。

真冬の寒空の下、雪原に身を隠す女性Mallory。 じっと息をひそめていた彼女は、何か意を決したのか、ダイナーへと向かう。 和やかに談笑する隣席の若者たちに、温かな眼差しを向ける彼女。 そこへ片田舎には不釣り合いな高級車・キャデラックCTSが駐車場に滑り込んでくる。 途端、表情を引き締めるMallory。 ところが車から降り立ったのは、彼女が待っていた「人物」ではなかった。 かつての仕事仲間Aaronだったのだ。 共に来るよう、Malloryを説得するAaron。頑なに拒むMallory。 とうとう強硬手段に出たAaron。ところがMalloryの方が一枚上手。 Aaronを一撃に沈めると、応戦してくれた隣席の若者Scottをダイナーから連れだし、 Scottの車に乗り込む。助手席に彼を座らせると、車を一気に走らせた。

そしてMalloryはScottに、これまでの出来事を語りはじめる。

■ことの発端は7日前。スペインはバルセロナ。

スペイン政府の要人Rodrigo
Malloryは、各国政府が隠密に処理したい裏工作を代行する民間軍事企業に努める工作員。 彼女は、アメリカ政府とスペイン政府が共同で処理を依頼して来た「誘拐された民間ジャーナリストの救出」を請け負う。 MalloryはAaron他2名と共に、ジャーナリストを救出。スペイン政府に身柄を引き渡す。

■場所は変わって、サンディエゴ。

無事に任務を遂行し、サンディエゴの自宅で久しぶりに羽根を伸ばすMallory。 そこへ、彼女が務める民間軍事企業の若き敏腕経営者Kennethが来訪する。 かつては彼女の恋人でもあったKenneth。とは言え、今は雇用者と被雇用者の間柄。 二人の間に、微妙な緊張感が走る。 張り詰めた空気をサラリとかわし、Kennethは、彼女に新しい仕事を依頼する。 Studerなる男と繋がりを持つ、フリーランスの工作員Paul(我らがファス殿!)の「妻役」として、Studerに接触しろと言うのだ。業界随一の腕前と実績を持つMalloryには、余りに役不足な仕事。かてて加えて、激務からの久方ぶりの帰還。 一度は断るも、英国諜報機関MI-6との今後のコネクションの為にとKennethに懇願され、しぶしぶ承諾するMallory。

■任務地のアイルランドはダブリン。

Paaaaaaaaaauul!!
Paulの「妻」として、駅舎で彼の到着を待つMallory。 抱擁と接吻を交わすと、「夫婦」は瀟洒なホテルへと向かう。 だが、今回の任務に不信感を拭いきれないMalloryは、隙を見て、Paulの携帯からGPSデータを盗み出す。 宵の刻、豪邸へと向かう、仲睦まじい「夫婦」PaulとMallory。 途中、別行動を取ったPaulに、違和感を感じたMalloryは、GPSデータを使用して、彼の行く先を追尾。 そして、彼が入って行った倉庫を探索すると、そこには何故か、バルセロナで救出したジャーナリストの死体が。 しかも、そのジャーナリストの手には、駅舎での「Paulとの待ち合わせの目印」にと、Kennethから手渡され、Malloryが身に着けていたブローチが握りしめられていたのだ。 ジャーナリスト殺害の容疑者に仕立て上げられたMallory。 Paulへの疑念は、確信へと変わる。 何事もなかったかのように平静を装い、Paulと共にホテルへ戻るMallory。 ところが、客室へ入った途端、Paulが豹変。 彼女を殺しに掛かって来た。 決死の攻防を繰り広げるMallory、そしてPaul。 割れるガラス、飛び散る破片。突き破られるドア。 辺りは惨状に。そして、命を掛けた肉弾戦のすえ、MalloryはPaulの息の根を止める。

Paulは最期、Malloryに謎の言葉を遺して息絶えた。
「君は危険な状況にいる。もう君の手には負えない。」

Paulの遺体から携帯を取り出すMallory。 そこにはKennethからの着信が。折り返すMallory。
電話口にいるのがPaulではなく、Malloryとは露知らず、Kennethは言う。
「Paul、『離婚』は首尾よく運んだかい?」

無言のうちに電話を切るMallory。 電話口の先に居るのがPaulではなく、Malloryと悟ったKenneth。

逃亡するMallory
いつの間にか、ジャーナリスト殺害の濡れ衣を着せられたMallory。 国際的指名手配犯として、執拗な追跡を受ける。 辛くも逃げおおせた彼女は、先のジャーナリスト救出を依頼した、アメリカ政府の要人Coblenzに電話を掛け、事の次第を問う。Kennethの真の目的を探るために、引き続き「逃亡」し続けるよう指示するCoblenz。

■再び現在。引き続き逃走中のMalloryとScott。

ところが道の先に検問が。警察の追尾を交わし、Kennethが送り込んだ武装集団を撃退し、再び逃走を始めたMalloryとScott。そしてMalloryは、これまで話した事の顛末を、すべて警察に話すよう、Scottに説く。 バルセロナでの仕事を発端として、国際的指名手配犯に仕立て上げられたことを。 カナダを経由して、アメリカにもどり、Kennethに我が身に起きた「事件」の説明を求め、ダイナーにやって来たところ、仕事仲間のAaronが現れ、やむなく、彼を倒し、逃避行をしていることを。 そうScottに伝えると、Malloryは再び姿をくらます。

■ニューメキシコ。

アメリカ政府の要人CoblenzとMallory
なんとしてでも、Malloryを「消したい」Kenneth。 そこで、彼は、Malloryの唯一にして最高の理解者であり、Malloryがただ一人、心を許す父Johnの住まうニューメキシコへと向かう。Johnを経由して、Malloryの捕獲を試みようというのだ。ところが、そこは、Malloryが一歩先を行っていた。Kennethが来訪することを予測していたMalloryは、予めJohnの家で彼らを待ち伏せていたのだ。そして、激しい銃撃戦。Kennethと共にJohn宅へやって来たAaronは、Malloryの話す「事実」と、Kennethの話す「事実」の大きな食い違いに、Kennethへの疑心を深める。もはや足手まといでしかなくなったAaronを、容赦なく撃ち殺すKenneth。一夜とは言え、男女の関係を結んだAaronの亡骸を前に、復讐心をたぎらせるMallory。

一方、復讐の鬼と化したMalloryに、身の危険を感じたKennethは、逃亡を図る。

Malloryに裸絞されるKenneth
再びアメリカ政府の要人Coblenzとコンタクトを取ったMalloryは、Kennethの逃亡先を聞き出し、彼を追跡する。逃亡先で、警戒心を緩めていたKennethの背後から忍び寄り、Kennethを絶体絶命の崖っぷちに追い込んだMallory。そこでKennethはMalloryに、彼女が予想だにしなかった「真実」を白状する。

誘拐されたと聞かされていたジャーナリストは、実は内部告発者としてStuderに追われていたため、身の保全のため、バルセロナに潜伏したいたこと。そして、Studerから、彼の「始末」を頼まれたスペイン政府の要人Rodrigoが、ことを「誘拐事件」に仕立て上げ、ジャーナリストを「救出」の名のもとに捕獲し、そして抹殺したこと。さらには、全ての罪をMalloryになすりつけ、新たな仕事先のダブリンで、正当防衛を装って、PaulにMalloryの息の根を止めさせる魂胆であったこと。 つまり、KennethもPaulも、Rodrigoの駒にすぎなかったのである。

驚愕の事実を前に、言葉もなく、その場を立ち去るMallory。その背には、岩場に足を挟まれ、必死に命乞いをするKennethの懇願が虚しく響いていた。

Malloryの「来訪」に驚くRodrigo
一方、Studerから受け取った、多額の謝礼を元に、若くて美しい妻、そして豪華な邸宅を手に入れ、悠々自適の生活を謳歌するRodrigo。彼の元に、Malloryがやってくる。邸宅に忍び込んだMalloryの姿に、驚愕の色を露わにするRodrigo。そして…


暗転。


-THE END-


【立てば伊達男、座れば伊達男、歩く姿は伊達伊達男な、Michael Fassbenderを満喫】

出演者全員が、常時「主役級」の一流スター。 そのスターを、まるで捨て駒のようにバッサバッサと使い捨てていくのだから、もう突き抜けてます。ある意味、潔い。しかしながら、こんなに容赦のない扱いなのに、これだけのスターが集ったのですから、Steven Soderbergh監督に対する信望が如何に厚いかが、よく分かります。 我らがミスター伊達ファスベンダーも、ご多聞にもれず、サクっと潔く散って行きましたとも。

でもね、どんなに出演時間を押さえ込んだってね、ダダ漏れしちゃうのよファス殿の色香は!の件。

■一切の無駄のない、それはそれは、お美しい体躯を、バスタオルでチョチョイと「ラッピング包装」して、バスルームからご登場とか。

■ウィスキーの入ったロックグラスの周囲で、それはそれは優美に遊戯なさる「伝家の宝刀・フィンガーアクション」が堪能できちゃうとか。

■ファス殿に「不可能の文字なし!」と唸ってしまう、プロの格闘家との決まりに決まった「肉弾戦~死闘編~」とか。

■女性の太腿に締めあげられる美男ちゅうたら、あんさん、『007 ゴールデンアイ』でゼニア・オナトップに締めあげられるジェームズ・ボンド以来でっせ♪と胸がキュゥンとしちゃうシーンとか。

■しかも!ドレスの女に突っ伏されて、馬乗りされちゃうの図が、まぁなんとも万事休すで、痛々しい美丈夫ほど美しいものはございませんわよと、瞳が潤いまくっちゃったりとか。

■ピッチリと撫でつけたオグシver.から、ちょっとラフに乱れたオグシver.まで、選り取りみどりのヘアーコレクションを堪能とか。

■やっぱりスーツがよくお似合いよね。
そうそう、プラダの2012/13秋冬メンズコレクションで、Willem Dafoe(ウィレム・デフォー)氏やGary Oldman(ゲイリー・オールドマン)氏がランウェイを歩いてらっしゃったわ。来シーズンは、ミスター伊達ファスベンダーも。
とか言いつつ、そうねぇ、できればTom Ford(トム・フォード)氏がコレクションをランウェイで発表なさることがあったら、その時には是非ともファス殿をご指名下され~と妄想たくましくなりすぎて、脳髄が暴発しそうになったりとか。

■ジェントリーなエスコートぶりが板に付き過ぎで、「おおファス。どうしてあなたは伊達ファスなの?」と、心の臓がもんどりかえったりとか。

ファス殿をお目当てにご覧になったとしても楽しめるシーンは随所にございましたが…それにしたって、斬り捨て御免!!なファス殿。 正味、何分だったのでせう、ご出演時間。 余りに、ファス殿の出演時間および魅力が「濃縮」され過ぎているものですから、アタクシ、帰宅後、必死にそれらを「濃縮還元」して、なんとか満足感を鑑賞料金分まで引き上げようと懸命になってしまったくらいでございます。


【映画館でのご鑑賞に係る、超!個人的留意事項】

霞がかったまま、話は進み、最後、どんなドンデン返しが待ち受けているのかと思ったら、期待に応えてくれるほどのオチでもなく。冗長というわけではないが、緩急巧みというわけでもなく。迫る高揚感や緊張感も、さほどなく、淡々と進むストーリー。
本筋とは話が逸れるが、そもそも、かような危機的状況で、すんなりMalloryについてきたScott君の気持ちを理解できるシーンが、私には見つけられず。Coblenzの思惑も計りかね。またRodrigoがいかにして、野望たくましいKennethを懐柔したかも闇に包まれたまま。まぁ観客の想像力に委ねられていると言ってしまえば、それまでなのですが、その想像力を育むための「種まき」が、もう少々あっても良かったのではとは個人的な見解。

上映時間を93分にまとめるために、いささか「肉」を削ぎ落し過ぎてしまったのではないでしょうか。

どうでしょう。小生と同じように「ファス殿のために観に行くわ!」という方、もしいらっしゃいましたら、 DVD化までお待ちになっても宜しいかと存じます。 寧ろDVDで、ファス殿の出演シーンをエンドレスに繰り返し再生した方が楽しめるかと存じます。

***

以上、ファス殿のため、遠路はるばる、往復2時間半かけて、上映の映画館まで足を運んだditaによる、独断と偏見に満ち溢れた感想でございました。